設立趣意書

1、趣旨

白神山地は、もともと計画されていた青秋林道が、青森県・秋田県の住民運動によってストップされ、この運動をきっかけにその価値が見直されて残ったものです。原生林として有名な白神山地ですが、とくに広大な面積を有する青森県側には、つい最近までこの山地帯を利用/依存した、山村・海村の生活が育まれていました。
しかし近年進行している若者の地方離れ、少子高齢化により、白神山地周辺にもいわゆる限界集落が現れ始めています。また新聞では、100年後には現在の社会のあり方では白神山地がなくなるとの報道もありました。
豊かな自然は、人間との関わりとの中で、もっともその豊かさを示すことが近年の研究で明らかです。また白神山地から流れ出る水脈は、川や地下水を通って海へと流れ出ます。豊かなブナ林は山だけでなくその麓に暮らす村・町の命の源であり、海の幸の原点でもあります。
また世界遺産に指定されて以来増加する観光客は、この地域のすばらしさを世界に知らしめる協働者である反面、自然に大きな負荷をかける存在でもあります。様々な付加を取り除き、またこの自然遺産の本当のすばらしさを来ていただいた方に伝えることができるのも、この地域に暮らす人々です。
自然遺産・白神山地を守るためには、周辺の地域の共生の作法を維持していくことが不可欠です。ここで暮らす人々は、私たちの消費文明が自然と接する最前線であるとも言えます。自然遺産・白神山地と共生する作法を私たち自身が身につけるため、周辺地域を守り、共生していく道を探っていくため、地域住民およびこれを支援する人たちが集まって多方面からの知恵を結集することが必要です。そこでこの法人を設立し、大学研究者、周辺関連施設、地域住民の他、周辺自治体、全国の支援者との連携によって、共生の方法を探っていきたいと考えています。

2、申請に至るまでの経過

  • 平成20年 4月16日  第1回設立準備会
  • 平成20年 6月10日  第2回設立準備会
  • 平成20年 6月27日  設立総会